令和6年度土木学会賞「技術賞」を受賞
このたび、下水道局が進めてきた千代田幹線整備事業が、令和6年度土木学会賞「技術賞」を受賞しました。
土木学会賞は1920 (大正9)年に創設された、100年を超える伝統に基づく全国しベルの権威ある表彰制度です。今回受賞した「技術賞」Iグループは、具体的なプロジェクトに関連して、土木枝術の発展に顕著な貢献をなし、社会の発展に寄与したと認められるインフラの計画、設計、施工または運用やメンテナンス等の画期的な個別技術に対して授与される賞です。
日本最長の超長距離下水道シールド施工について~千代田幹線整備事業~
東京23区には、明治17年に建設された神田下水以降、現在では約16,200kmの下水道管が整備されています。 長年の使用により老朽化が進んでいるものもあり、下水道管の再構築を計画的に進めています。
本事業の流域内にある下水道幹線は、大正から昭和にかけて整備されました。老朽化が進行し対策が急務ですが、水位が高く再構築工事が困難な状況にあります。そこで、既設幹線の水位を低下させるために下水の流れを切り替える代替幹線として千代田幹線の整備を行っています。老朽化した幹線の水を取水人孔から深さ約60mの千代田幹線に落とし込み、水位を下げて再構築工事を可能にします。
千代田幹線は、千代田区飯田橋の発進立坑から港区港南にある芝浦水再生センターまでの全長約8.7km、内径4.9mの幹線です。工事はシールド工法で皇居外苑、東京タワーなど都心部を縦断するルートを施工しましたが、用地確保が難しく中間立坑を設けられなかったため、1スパンの下水道シールドとしては日本最長となりました。また、11路線の地下鉄や共同溝などの地下構造物を避ける必要があり、最大土被りは約60mに達しました。
本事業では、このような「長距離施工(8.7km)」「大深度(高水圧)」などの課題に対して、新合金製円柱チップを用いた高耐久性ビット「スタミナビット」の採用によるシールド機の耐久性向上、通常は四角形状のセグメントを全ピース同一六角形状とした「ハニカムセグメント」の採用による止水性向上など、様々な創意工夫により克服し、極めて困難なシールドエ事を無事完了させました。
- ビット:シールド機の先端にある「刃」で、地中を掘り進むために使います。
セグメント:掘ったトンネルの内側に並べて設置する「壁材」で、空間を支え、水の侵入を防ぎます。