第39回 鉄蓋大好き!
マンホール蓋の形は一つじゃない?
傭兵鉄子 TETSUKO YOHEI
マンホール蓋と聞いて頭に浮かぶのはどんな形でしようか。多分、ほとんどの方が円形の丸い板状の物を思い浮かべると思います。丸い蓋は下水道以外のインフラの蓋にも広く使われていて、最もよく目にする形ですが、マンホール蓋が丸いのにはちゃんと理由があります。
一番の理由は、もし蓋がずれてもマンホール(人孔)に落ちないようにするためです。マンホール蓋は鉄製で、東京都内に設置している直径約60cmの一般的なサイズの蓋の重さは40kg~50kgあります。とても重いので、もし工事などで蓋がマンホールの中に落ちたら大変です。下で作業をしている人が大けがをしたり、また、落ちた蓋を拾い上げるのも簡単にはいきません。そうしたことを防ぐため、マンホールとマンホール蓋は円形に作られています。 もし三角形や四角形だった場合、三角形の高さは1辺の長さよりも短く、四角形の対角線は1辺の長さよりも長いので、向きや角度によっては落ちてしまいます。それに比べ、円形だとどの向きに傾けても直径は同じなので、落ちる心配がありません。
また、丸いと角が無いので欠けにくく、蓋を転がして動かせるので、運搬や更新(交換)作業もしやすくなります。他にも、丸い蓋は四角い蓋よりもがたつきがおきにくく、どの方向でも同じ重さに耐えられたり、他の形と比べて面積が小さいので、製造や設置の費用を抑えられるという利点もあるようです。
とはいえ、全てのマンホール蓋が丸いとは限りません。消火栓など、他のインフラの蓋には四角いものもあります。そして下水道にも、三角形を組み合わせた蓋や四角形の蓋があります。そうした蓋は蝶番で枠と繋がっていることが多く、簡単には落ちないようになっています。また、蓋の素材も設置場所によって変わることがあり、鉄製だけでなく、コンクリート製やプラスチック製の蓋もあります。
みなさんも、近所にどんな蓋があるのか探してみてくださいね。
四角形の蓋の例。各蓋は蝶番付きで独立していて、中には転落防止用のはしごがある
三角形の蓋を組み合わせた例。
(東京都三鷹市)
コンクリート製の蓋の例。
細い路地や歩道などに多い
傭兵鉄子(ようへい・てつこ)
マンホール蓋&腐食金属愛好家。愛好家主催のイベント『マンホールナイト』実行委員。学生時代「自分の街をプロデュースする」という課題がきっかけで市町村毎に違う絵柄の鉄蓋に気付き、以来その魅力にハマる。アニメに登場する蓋も研究観察対象。