国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」受賞
国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」を受賞しました
令和6年9月10日(火)国土交通省にて、第17回国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」の表彰式が行われ、下水道局と虎ノ門エネルギーネットワーク株式会社の共同の取組である『国内初!下水道管から地域冷暖房の熱源へ下水熱を供給』がグランプリを、下水道局と日本透析医学会、日本透析医会及び日本臨床工学技士会の共同の取組である『下水道を守り、健康も守る透析へ』がアセットマネジメント部門賞を受賞しました。
◆取組概要◆
- 「麻布台ヒルズ」で実施する地域冷暖房の熱源の一部に、気温に比べ「夏は冷たく冬は暖かい」という温度特性を持つ下水の熱を活用
- 下水道管から下水の熱を回収し、地域冷暖房の熱源の一部に利用する、国内初の事例
- 電力や燃料の使用量を削減し、社会全体の温室効果ガス排出番の削減に買献
下水の温度は「外気温に比べ、夏は冷たく、冬は暖かい」という温度特性を持っており、下水熱は、この温度差エネルギーを冷暖房の熱源等として利用することで、温室効果ガス排出量削減に効果を発揮します。
都内での下水熱利用は、これまでセンターやポンプ所の近傍でのみの利用であり、エリアが限定的でしたが、平成27年5月に下水道法が改正され、下水道管理者の許可を受ければ、民間事業者等が熱交換器等を下水道管内に設置できるようになりました。
本件は、地域冷暖房の熱源の一部に下水道管から回収した下水熱を利用する国内初の取組として、虎ノ門エネルギーネットワーク株式会社(※)と令和5年9月に下水熱利用を開始いたしました。事業開始に至る過程においては、下水道管内に熱交換器を設置するにあたって、下水道機能への影響や交換器の材質などの検討が必要になりましたが、虎ノ門エネルギーネットワーク(株)と何度も協議を重ね、合意形成を図り、事業を実現することができました。
今後も、地域や民間事業者など下水道事業以外の他分野のみなさまと連携し、社会全体の温室効果ガス排出量の削減に取り組んでまいります。
※森ビル(株)と東京電力エナジーパートナー(株)による合弁会社。
下水道管からの熱利用イメージ図
麻布台ヒルズ案内図
下水道管内に設置した熱交換器
【取組の効果】
下水熱の利用により、一般的な空調システムを利用する場合と比較し、CO2排出量を年間約70t削減します。
◆取組概要◆
- 透析機器の洗浄時酸性排水により、道路陥没など重大事故に繫がりかねない下水道管損傷が発生
- 官民が連携して透析医療機関に洗浄薬剤変更などの対応を働きかけた結果、損傷防止対策が完了
- 国による情報発信、業界団体による自主的排水管理体制の構築、メーカーによる技術開発などを通じて、全国下水道における事故未然防止や透析医療の安定提供に大きく貢献
平成29年、様々な診療科の医療機関が入居するビルで原因不明の下水道施設損傷事故が発生したため、実態調査を実施しました。調査の結果、原因が「透析医療機関の酸性排水」と判明したことから、個々の医療機関による適正な排水管理の実現が必要となりました。
早期解決が求められるなか、当時の「下水道」にとって「医療」は一義的には専門外であり、日常的なつながりの薄い医療機関に対して、有効な指導・助言や、医療の実態を踏まえた解決策を提示することは困難でした。
そこで、医療機関への発信力や医療のノウハウをもつ国や医療団体を「ともに取り組むべきパートナー」として、新たな協力体制を構築することとしました。
行政とパートナーそれぞれが専門知識を活用し、対策を講じる透析医療機関へ効果的に情報提供することで、各医療機関の適切な対策が進んだだけでな<、自主的かつ持続的な排水対策の実現につながりました。
今回、これらの取組が評価され、アセットマネジメント部門賞を受賞することができました。
【取組の効果】
国や医療業界と共に取り組んだ結果、当初想定よりも短い7年間で対策を完了しました。透析医療機関自らによる適切な排水管理を実現することで、東京23区内の排水対策未対応の透析医療機関数がゼロになりました。