第41回 鉄蓋大好き!
用途がひと目で分かるマンホール蓋
傭兵鉄子 TETSUKO YOHEI
普段、マンホール蓋をじっくり見ることはあまりないかもしれませんが、実は蓋にはまちのインフラ情報がぎゅっとつまっていて、下にどんな管路が通っているのか分かるようになっています。下水道のマンホール蓋には「汚水」「雨水」「合流」などの文字が入っています。
「汚水」はトイレやお風呂、炊事洗濯などで出た生活排水のことで、「雨水」は雨が降って地面にたまったものです。この2つを合わせて「下水」と呼びます。下水を流す方法には、汚水と雨水を同じ管路に集めて一緒に流す「合流式」と、別々の管路に分けて流す「分流式」の2種類があり、蓋の表記を見るとどちらの方式なのか分かります。東京23区を中心に、下水道の整備が早かった地域では合流式が多く、新しく整備された地域では分流式が多くなっています。
蓋の表記は文字がほとんどですが、用途がひと目で分かるアイコン(絵のマーク)が使われているものもあります。写真はその一例で、東京都多摩市にあるアイコン表記の汚水と雨水の蓋です。アイコン以外にも、雨のイメージを大きくデザインした雨水蓋もあります。どれも素敵ですが、中でも私の一番のお気に入りは汚水のアイコンです。汚水と聞くとトイレだけを連想しがちですが、このアイコンは蛇口とトイレの絵になっていて、蛇口から出たきれいな水も使った後は汚水になると、パッと見て分かるのがいいですね。
見慣れたマンホール蓋にも、まちを支える大切な情報が隠れています。お出かけの際には、ぜひ足元の蓋にも注目してみてください。
【アイコン表記などの蓋の一例(東京都多摩市)】
傭兵鉄子(ようへい・てつこ)
マンホール蓋&腐食金属愛好家。愛好家主催のイベント『マンホールナイト』実行委員。学生時代「自分の街をプロデュースする」という課題がきっかけで市町村毎に違う絵柄の鉄蓋に気付き、以来その魅力にハマる。アニメに登場する蓋も研究観察対象。