第6回下水道の未来を切り拓く技術開発
地震・火山噴火への対策技術【下水道管】~首都直下地震や富士山噴火に備えて~
今年は、大正12(1923)年9月1日に発生した関東大震災からちょうど100年を迎えました。
東京都では、「100年先も安心」を目指して、都民の皆さまの生命と暮らしを守るため、昨年12月に「TOKYO強靭化プロジェクト」を策定・始動しており、安全・安心な都市を更にレベルアップして未来に引き継ぐ様々な取組を実施しています。
下水道局では、阪神・淡路大震災や東日本大震災などを教訓に、下水道管の地震対策の技術を開発し、導入してきました。また、富士山噴火に備えた、現在開発中の技術も紹介します。
下水道管とマンホールの接続部の耐震化技術 【開発済】
下水道管とマンホールの接続部は、地震の揺れで力がかかり、破損しやすくなっています。
下水道局では、接続部に地震の揺れを吸収するゴムブロックをマンホールの内部から設置し、耐震化する技術を民間企業との共同研究により開発しました。現在、避難所や一時滞在施設、災害復旧拠点などの排水を受け入れる下水道管などに導入しています。
令和4年度末現在、都内約4,800箇所で施工済みです。
図.下水道管とマンホールの接続部の耐震化技術
地震時のマンホール浮上抑制技術 【開発済】
地震時の液状化現象でマンホールが浮かび上がると、下水が流れなくなるとともに、交通障害となるおそれがあります。
下水道局では、マンホールの壁に液状化現象による過剰な水圧を逃がす弁を内側から設置して、浮上を抑える技術を民間企業との共同研究により開発しました。現在、緊急輸送道路や無電柱化している道路などのマンホールに導入しています。
令和4年度末現在、都内約1,300kmの道路で施工済みです。
図.マンホールの浮上抑制技術
地震時にマンホールへの土砂の流入を防止する技術 【開発済】
東日本大震災ではマンホールの目地がズレたことにより、液状化した土砂が流入して下水の流れを妨げる事例が発生しました。
下水道局では、マンホールの内部から各部材の目地にシートなどを設置し、土砂の流入を防止する技術を民間企業との共同研究により開発しました。現在、液状化エリア内において試行工事を実施中です。
図.土砂流入防止技術
下水道管内に流入した火山灰を除去する技術 【開発中】
富士山が噴火した場合、都内でも降灰が予想されています。火山灰が下水道管に流入すると、中で固まって詰まる可能性があります。
普段の詰まりは高圧の洗浄水で解消していますが、噴火の影響によっては洗浄するための水を用意できないことも想定されます。
下水道局では、マンホール内部に設置した機械でらせん状のドリルを回転させ管内に挿入し、砕いた火山灰などをかき出して取り除く技術の開発に取り組んでいます。
図.火山灰の除去技術(イメージ)