第5回 下水道の未来を切り拓く技術開発
街を浸水から守る雨水ポンプ~無注水形先行待機ポンプ~
今回は、豪雨への備えを強化するため、下水道の雨水ポンプとして技術開発した「無注水形先行待機ポンプ」を紹介します。
雨水ポンプ所の役割
街に降った雨は、下水道管に流れ込み、やがて雨水ポンプ所に到達します。下水道管には、自然に流れる(自然流下)ように傾斜がつけられています。
そのため、下水道管は徐々に地中深く(深い場所で地下約50m)まで達し、雨水ポンプ所に到達します。
雨水ポンプ所は、到達した雨水を、ポンプを使って汲み上げ、速やかに海や河川へ放流することで、街を浸水から防ぐのが大切な役割です。
近年、都市化の進展や集中豪雨の増加等により、まとまって降った雨が下水道管へ一気に流入し、短い時間でたくさんの雨水がポンプ所に集まります。
【雨水ポンプ所】
無注水形先行待機ポンプとは
ポンプは、水中にある「インペラー」と呼ばれる羽根車をモーターで回して水を汲み上げます。
「モーター」と「インペラー」を「軸」でつないでおり、この回転する軸を「水中軸受」を使って固定しています。「水中軸受」は回転により発生する摩擦熱を冷やすために、軸受に水を注水しないと、これまで運転することができませんでした。
無注水形先行待機ポンプは、摩擦熱が発生しにくい特殊な軸受を使い、注水がない状態でも、ポンプの運転が可能となりました。これにより、大量の雨水がポンプ所に流れ込む前からポンプを運転し、雨水を即座に海や河川へ放流することが可能となりました。
これからも、街を浸水から守るため、東京都下水道局は技術開発に取り組みます。
【これまでのポンプと無注水形先行待機ポンプの違い】