ビルピット臭気対策の事例
ビルピット臭気対策の事例
東京都では、臭気発生を未然に防ぐ予防保全対策をビルオーナーの皆さまへお願いしています。その取組の一つとして、自らの財産である都有施設のビルピット改修工事を行いました。
下水道局で行ったビルピット臭気調査とその後の改修工事の概要について紹介します。
下水道局による調査
下水道局では、臭気苦情の多い地区を重点化対策地区として選定し、継続的なビルピット臭気調査を行っています。
地区内にある公共汚水ます内の硫化水素濃度を測定した結果、都有施設の排水先の公共汚水ますから高い硫化水素濃度が確認されたため、当該施設の管理者(所管部署)に情報提供を行いました。
- ビルピット臭気調査方法・・・公共汚水ます内の硫化水素濃度を7日間連続測定し、臭気発生状況を調査
- 調査結果・・・硫化水素濃度100ppm以上を複数回確認
(参考)
- 地下階の利用状況・・・トイレ、手洗場、機械室
臭気対策の実施
当該施設の管理者(所管部署)は、下水道局からの情報提供を受け、2つのビルピット臭気対策を実施しました。
流入管の延長
目的:流入管からの排水をスムーズに釜場に集めることで、排水ポンプによる排水を確実に行い、硫化水素の発生を抑制します。
釜場とは・・・ポンプで排水するために、排水を集める場所
工事概要:流入管を延長しました。
【概要図】
≪改修前≫→≪改修後≫
【流入管の状況】
≪改修前≫→≪改修後≫
排水の希釈
目的:排水を希釈するだけでなく、希釈水の流入により、ポンプの起動水位まで水位を上昇させ、排水が腐敗する前に公共下水道に排出します。また、希釈水とともに空気(酸素)が排水内に供給されることで、排水の腐敗防止につながり、硫化水素の発生を抑制します。
(参考)
一般的に、排水の希釈は、希釈水の流入により排水ポンプの起動水位まで早く水位が上昇するため、ポンプの動作間隔が短くなり、公共下水道への排出頻度を増やすことができます。
工事概要:希釈水をビルピット内に供給するようにしました。
【概要図】
≪改修前≫→≪改修後≫
【希釈水流入の状況】
臭気対策の効果
2つの対策を実施した結果、硫化水素濃度の値が大幅に改善されました。
- 調査結果(対策後)・・・硫化水素濃度は臭気対策前と比較し、1/10以下に減少
当該施設の管理者には、引続き、適正な維持管理を実施するよう依頼しています。
今回紹介した事例は、当該施設で実施した結果であり、全ての施設において同様の結果が示されるわけではありません。ビルピットの構造や排水ポンプの機能等は、それぞれ異なりますので、どのような対策を行うか十分に検討する必要があります。