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第35回 鉄蓋大好き!

受け継がれるマンホール蓋

傭兵鉄子 TETSUKO YOHEI

マンホール蓋には、採用された時代ごとにさまざまな違いがあります。構造や素材などの見直しと同時にデザインも一新され、軽量化や浮上防止、管理番号付きや耐スリップ性能の向上など、技術の向上とともマンホール蓋の見た目も変化してきました。

路上でその違いを見比べるのはなかなか難しいですが、昨年(2022年)11月3日に開催された「旧三河島汚水処分場 運転開始100周年」イベントでは、マンホール蓋の変遷が見られる展示がありました。大正から令和にかけて東京都(東京市)で採用された実物の蓋が並べられていて、蓋の特徴や歴史、正式採用前の図面やそれを元に作られたレプリカなど、初お披露目の貴重な資料の数々にワクワクしました。

それらをじっくり見学していると、ふとあることに気付きました。

「あれ、もしかして穴の位置が全部同じ……?」

採用年に100年以上の開きがあってデザインも違うのに、よく見ると、蓋にある穴の位置がぴったり重なるのです。

下水道のマンホール蓋には、開閉に使うコジリ穴やカギ穴、下水管路内のガス抜き用のガス抜き孔(空気穴)があります。デザインが変わるとガス抜き孔の位置が変わったり割愛されることも多い中、23区の蓋は大正初期に採用された蓋と同じ位置のまま、ガス抜き孔をデザインの一部として活かしています。そのデザインは、現在23区のうち15区で設置しているキャラクター蓋にも取り入れられています。見た目は変わっても、大正に考案された蓋は令和の今に受け継がれているのです。

昨年(2022年)開催された「旧三河島汚水処分場 運転開始100周年」イベントでのマンホール蓋展示。東京都(東京市)がこれまで設置してきた蓋の変遷が分かる/歴代のマンホール蓋を並べて1枚にしたもの。ガス抜き孔が同じ位置になっている

傭兵鉄子(ようへい・てつこ)

マンホール蓋&腐食金属愛好家。愛好家主催のイベント『マンホールナイト』実行委員。学生時代「自分の街をプロデュースする」という課題がきっかけで市町村毎に違う絵柄の鉄蓋に気付き、以来その魅力にハマる。アニメに登場する蓋も研究観察対象。

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