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第33回 鉄蓋大好き!

マンホール蓋はシティーカルチャー?

傭兵鉄子 TETSUKO YOHEI

「マンホールに興味持つのって、都会ならではだよね」

これは以前、地方在住の友達から言われた言葉です。徒歩5分の場所でも車移動なので、そもそもマンホール蓋があることすら気付かない、歩かなければ目に入らないということでした。なるほど、そう言われてみると、マンホール蓋趣味はシティーカルチャーなのかもしれません。

でも、本当にそうでしょうか。昨今のマンホールブームは日本全国に広がっていて、決して都会だけの現象ではありません。マンホール蓋の魅力はたくさんありますが、どんなに魅力的な物も身近に感じなければあまり目に入ってこないと思います。地元でも旅先でも、気付けばそこにある。どこにでもあるけれど、行く先々でちょっと違う。マンホール蓋はそんな身近で気になる存在だからこそ、興味を持つ人も増えているのではないでしょうか。

生活排水の処理方法には、下水道のほかに浄化槽などがありますが、そもそも路上にあるマンホール蓋は、下水道が無い場所には設置されていません。全国の下水道普及率は、昭和45(1970)年度末は8%でしたが、令和3(2021)年度末には80.6%まで伸びています(※)。それに伴い、デザインマンホール蓋も全国各地に設置され、多くの人の目にとまるようになりました。下水道が整備されたことで水洗式のトイレが増え、公衆衛生が良くなり、河川の水質も改善されています。生活に直結した下水道は、あって当たり前、問題がなくて当然になりましたが、地下にあるので、その存在や重要性が見えにくいという一面もあります。

マンホール蓋は「目に見える下水道」ともいわれています。前述の友達に「あなたのまちには○○のデザインマンホール蓋があるよ」と伝えると、「え、こんな所まで下水道が通ってるんだ!」と、下水道の存在とともに、マンホール蓋を通じて自分が住むまちの特色や歴史をあらためて知ることができたと喜んでいました。

身近だけど目立たない、そんなマンホール蓋が全国的なブームになったのは、下水道が日本中に行き届いている証でもあるのです。

※:下水処理人口普及率。国土交通省HP「下水道整備の推進」より

写真:東京都あきる野市(多摩地域)

東京都あきる野市(多摩地域)

写真:東京都葛飾区(23区)

東京都葛飾区(23区)
(c)sekiguchi

写真:東京都小笠原村(島しょ部)

東京都小笠原村(島しょ部)
〈写真提供:白浜公平さん〉

東京都のデザインマンホール蓋の一例。区部・多摩地域・島しょ部と、広範囲に設置されている

傭兵鉄子(ようへい・てつこ)

マンホール蓋&腐食金属愛好家。愛好家主催のイベント『マンホールナイト』実行委員。学生時代「自分の街をプロデュースする」という課題がきっかけで市町村毎に違う絵柄の鉄蓋に気付き、以来その魅力にハマる。アニメに登場する蓋も研究観察対象。

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