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第8回 下水道の未来を切り拓く技術開発

技術開発により進化する焼却炉

~最新型の焼却炉の紹介~

下水道局は、年間に約21億m3(東京23区で約17億m3、多摩地域で約4億m3)の下水を処理していますが、同時に処理の過程で発生する年間約120万tもの汚泥を焼却処理しています。汚泥の焼却では、二酸化炭素(CO2)や一酸化二窒素(N2O)などの温室効果ガスが発生するとともに、焼却炉を動かすための電力・燃料を大量に消費することから、これらを削減するための新たな焼却炉の技術開発に取り組んできました。

温室効果ガス削減の取り組み状況

下水道局が排出している温室効果ガスの総排出量は77.2万t-CO2(2021年度実績)となっています。下水処理は、水処理工程と汚泥処理工程に大きく分けられますが、全体の内訳のうち汚泥処理工程で約3割の温室効果ガスを発生させている状況にあります。

現在、温室効果ガス削減への取組として、高性能脱水機を採用することにより燃料が不要になる①「省エネルギー型焼却炉」や、焼却廃熱を活用した発電により焼却炉で使用する電力を自給できる②「エネルギー自立型焼却炉」を導入してきました。

エネルギー供給型(カーボンマイナス)焼却炉

今回、下水道局が民間企業と協力をして、下水汚泥が有するエネルギーをより一層活用できる③「エネルギー供給型(カーボンマイナス)焼却炉」を開発しました。この焼却炉は、自らが使用する電力以上に発電することで、焼却炉以外へも電力を供給することを目標としています。今回、開発した焼却炉では、1時間あたり850kW以上の発電(例えば、4人家族の一般家庭で使用する1日の電力量の約1,500軒分)が可能となっており、発電した再生可能エネルギーを水処理施設や汚泥処理施設へ供給することで電力会社から購入していた分の電力を削減することができます。

また、これまでの焼却炉よりも燃焼温度を更に高温化(約850℃以上)することで、N2O排出量を大幅に削減することも可能となりました。

これにより、電力会社から購入していた分の電力由来の温室効果ガスの排出量が汚泥焼却による温室効果ガスの排出量を上回ることによって、焼却炉のカーボンマイナスを実現できるようになりました。

HTTを推進する技術開発

東京都では、電力のHTT[(H)へらす・(T)つくる・(T)ためる]を推進しています。下水道局では、これまで技術開発してきた焼却炉により、使用する電力を「(H)へらす」取組と「(T)つくる」取組を進めてきました。今後は、「エネルギー供給型(カーボンマイナス)焼却炉」により、汚泥に含まれるエネルギーを最大限利用することで、焼却炉で使用する電力以上に発電し、水処理施設や泥処理施設にも電力を供給できる「(T)つくる」取組を強化していきます。

グラフ・図

出典:アースプラン2023. 東京都下水道局. 2023-3, P36, 51, 60

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