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第20回 下水道れきし旅

循環型社会のすすめ

【生態系とは?】

近頃、エコロジーという言葉がよく使われています。エコロジーは本来生態系を研究する学問を意味しますが、最近は環境や地球にやさしい仕組みや行動といった幅広い意味で使われるようになってきました。

では、生態系とはいったい何なのでしょうか。それは、生物と自然環境との関係のことを言い、その関係は右図のように示されます。生物には大きく植物、動物、微生物があり、これらが自然界の中でバランスよく存在している姿が生態系なのです。すなわち、植物は動物の食物になり、動物は植物を食べ廃棄物を出します。すると、微生物が廃棄物を分解し、分解されたものは植物の栄養分になって再び植物に転換します。このように、植物は動物に食物を提供する「生産者」であり、動物はそれを食べる「消費者」であり、微生物は動物の廃棄物を植物への栄養分に転換する「還元者」です。

この3者がバランスよく存在し、太陽からエネルギーを得ているからこそ、自然界は滅びることなく生存し続けているのです。地球が太古から今に至るまで存在し続けているのは、この循環システムである生態系を有しているからに他なりません。

画像:自然生態系

▲自然生態系

【社会生態系】

ところが近年、環境破壊や資源の枯渇が問題になり、自然はもとより社会そのものを持続できるのか疑問視されるようになってきました。

そこで、従来のシステムへの反省から、健全な社会を維持し続けるために、生態系から学ぶ「社会生態系」(Social Ecology)の考えが出てきました。これは右図に示されるような形態です。

農業、林業など一次産業は人間に食物や資源を提供する「生産者」であり、人間はそれを消費する「消費者」です。現代は大量生産、大量消費といわれるように生産者と消費者はどんどん成長します。

しかし、廃棄物は、従来は陸上や河海に処分されていました。すなわち循環しない一方通行システムであったのです。廃棄物を還元する「還元者」は放置されてきました。その結果、環境問題や資源問題が顕在化したのです。

画像:社会生態系

▲社会生態系

【循環型社会への転換】

問題は還元者が小さいことです。ですから、社会を循環型にするには意識的に資本を投下して還元者を育成・維持しなければなりません。典型的な社会的還元者とは、まさにゴミや下水道、リサイクルなどの事業者なのです。今日、SDGsに象徴されるように、社会を将来に向けてどのように維持継続していくかが大きな課題になっています。20回にわたり下水道について紹介してきましたが、下水道は汚水や雨水を適正に処理・処分することが主目的ですが、循環型社会形成の重要な構成要素としての役割を有しているのです。利用者である都民の皆様は公費(税金)や下水道使用料を支払うことにより、既にその責任を担っておられるのです。ですから、下水道を皆さまとともに大切に守り、育ててゆく意味がここにあると思えるのです。

本シリーズも今回をもって最終回となります。永い間ご愛読いただき、感謝申し上げます。(完)

(月水土楽人)

表紙

旧三河島汚水処分場 運転開始100周年

下水はどうやってきれいになるのだろう?

第28回 鉄蓋大好き!

第20回 小学生下水道研究レポートコンクール

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